『ウェブ進化論』梅田望夫 #08

ブログと総表現社会(途中まで)

3.玉石混交問題の解決と自動秩序形成

  • 検索エンジンの能動性という限界
    • 玉石混交から「玉」を探し出す作業を行えるのは暇人だけである。この問題の解決に大きなブレイクスルーがなければ、新聞・雑誌などのパッケージングされた情報源への依存が続く。
    • 第一のブレイクスルーとして検索エンジンがあるが、能動的なメディアである。問題意識、目的意識があるときでないと、情報には至れない。こちらからの積極的な働きかけがあって初めて情報が得られる。
    • テレビ・新聞・雑誌などのメディアの本質は受動性にある。こちらから働きかけなくても、そこには選ばれた情報が既に提供されている。
    • 総表現社会チープ革命×検索エンジン×自動秩序形成システム
      で今後の総表現社会を考えたときに、第三項の自動秩序形成システムにおいて受動性というブレイクスルーがなければ発展はあり得ない。
  • 待たれる自動秩序形成システムのブレイクスルー
    • 検索エンジンで行われる「言葉の組み合わせ」に変わるインプットとしてどんなものが考えられるのか、試行錯誤され「自動秩序形成システム」のブレイクスルーが生まれた先にあるのは、

数百万、数千万という表現者の母集団から、リアルタイムに、あるいは個の嗜好に合わせて。自動的に「玉」がより分けられて。必要なところに届けられるようになる世界だ。

  • 総表現社会のマルチメディア化に伴う大問題
    • テキスト情報は言葉によって整理することが容易だが、写真、音楽、映像といったマルチメディア情報を「検索エンジン×自動秩序形成システム」によって整理することは今のところできない。
    • 文章はパッと見で善し悪しを判断できるが、映像などの善し悪しの判断はある程度見なければわからない。
    • マルチメディア情報を扱う場合、完全自動化を目指すGoogleと人間の介在を重視するYahoo!との競争は変わっていく。
  • 総表現社会表現者は飯が食えるか
    • 現在、日本ではまだ総表現社会で、お金を稼ぐのは困難だ。しかしリアル世界にはある地域による経済格差が、ネット上には無い。発展途上国ほど、アドセンス経済圏の恩恵は大きく、経済格差是正などが現実に行われている。

逆に考えて、能動的に働きかけなければ、情報が手に入れられない社会になったらどうなのか想像してしまった。知りたいと思った人だけが知ることができて、知りたいと思わない人は何も知らないままの社会…

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)