▼ドラマ『女王の教室』第4話 女王のリスク

女王の教室

日本テレビ系 毎週土曜日21:00~

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 今回の話はついにきたか、という感じのイヤな話でした。裏切りの連続と孤立していく和美。またもや真矢の意図がわからなくなってきた。

 ドラマ『ドラゴン桜』(原作はマンガ)もこの番組同様「一部のエリートたちの都合のいいように社会は作られている」という話が出てくる。だから「東大に入って人生を変えろ」という話になっている。これを見ててピンときたのだけど、和美と由介が現状を変えるために一念発起。ひかるの指導で猛勉強して、この三人が成績上位者ベスト3になる。そして雑用係が、本来特権を与えられるべきはずの上位二名よりも成績が上になる。そうやって真矢の作った体制を崩し革命を起こす。しかしそれも真矢が望んだ事で、和美や由介を追い込んだのは、こうなる事を予想して仕掛けていた事だった。というようなストーリーになるのかな、と思ったけど、次回の予告によると、本格的にクラスみんなの和美へのいじめが勃発するようで、今以上に和美は追い込まれていくようです。こんなにリスクの大きい教育が真矢の理想なのでしょうか?

9,10話の記事>

 現在和美を追い込んでいるのも彼女の資質と精神力の強さを見込んで真矢が仕掛けている事なのでしょうけど、たとえ相手が子供だとはいえ、そこまで他人の本当の心や性格を把握できる物なのでしょうか? 子供の視野という物は狭い物です。自分の身近な世界だけが全てだと思っているから、友だちに裏切られたり、いじめられる事が大人よりも数倍響く。その時の和美の心の動きまでしっかりと真矢は読み取れる自信があるというのか? 実際家庭では父親の浮気が発覚して、夫婦げんか。和美は両親も頼る事ができず、唯一の見方が姉一人となってしまったが、その姉も喘息持ちで入退院を繰り返している身だ。真矢はそういった家庭内の動き、父親の浮気が原因による夫婦不和や、姉の喘息の発作の事まで予想できなければ、どれほど和美が追いつめられてしまうかなど、予想できないはず。人間というのは魔が差すという事が絶対有り得る。その魔が差してしまう事まで真矢は予想できなければ、和美を追い込む事は作戦の内とはいいきれないはず。

 つまり和美の受けた裏切りやいじめなどがここまで大きくなってしまうと、人間には予想しきれない事態も起こりうるという事なのです。もしかしたら和美はいじめに耐えられず、魔が差した瞬間に自殺してしまうかもしれないし、大きな事故を起こしてしまうかもしれないのです。真矢が和美のマンションの外に立っていたのも、和美の行動を監視していたのでしょうけど、部屋の中までは見えないのです。

 ここまで生徒間の対立がエスカレートしてしまうと、「一見暴君に見える真矢の態度も教育方針も、実は全てしっかりした理念によって支えられていて正しく、卒業のころには生徒全員が格段に成長していてハッピーエンドを迎える」という予想していた展開に無理が出てきてしまったような気がするんです。リスクが大きすぎるという点で。たしかにこれはドラマなので、脚本家の予想通りに話は展開できるのでしょうけど、それでは真矢の教育理念というのは実はまったく現実では使い物にならない方法になってしまうのではないのでしょうか? 真矢の教育理念が机上の空論でしか無いのなら、これは「悪魔的な教師に生徒が翻弄されながらも健気に立ち向かっていく話をスキャンダラスに描いたドラマ」だという事になってしまいませんか? それではこのドラマに反対する人たちが出てくる事も当然で、それを含めて話題になって視聴率が稼げれば、内容やテーマがどうでもいい。というドラマになってしまって、面白さが半減してしまうと思うんですが。まだ半分以上話は残されているので、今後の展開次第では、やっぱり真矢は凄い教師だったと思えるかもしれませんが。

 それに、恵里香のように人を利用し簡単に裏切る事のできる生徒を、真矢がどのように教育していくのか見ていきたい気もする。