▼あわてるな 銀河ヒッチハイク・ガイドがやってくるぞ!

 なんかえらい事になってます。私、普段映画雑誌とか、その他情報誌を読む事が無いので知らなかったのですが、「銀河ヒッチハイク・ガイド」が9/10に公開されるそうです。映画化されるとは聞いていましたが、あまり情報を見る機会が無かったので、てっきり日本未公開、DVDで発売かと思ってました。そしたら立派な日本語公式サイトまで出来ていて、かなりの力作みたいじゃないですか、AmazonではBBCのテレビシリーズ版のDVDの発売も予告されているし。なんと長らく絶版だった原作も河出河出書房新社から文庫で復刊されるもよう。

ある日突然地球は消滅した。誰も知らないうちに銀河バイパスの用地に指定されて立ち退き命令まで出ていたのだそうだ。たったひとり生き残ったのはサエない男アーサー。地球に住みついていたベテルギウス人フォードに助けられて宇宙ヒッチハイクをする破目になったのだが、まず出くわしたのは地球破壊の元凶ヴォゴン人の宇宙船だった……。おかしくもちょっと悲しいSFパロディー。

新潮文庫版の解説より

 昔、中学のころこのダグラス・アダムズの「銀河ヒッチハイク・ガイド」を読んだ私はその面白さに狂気した。翻訳の小説ではそれからずうっとBest1である。公式サイトによると、全世界で1500万部のベストセラーとある。この数字がどのようなすごさかはいまいちピンとこないけど、これほどの傑作を長らく絶版のままにして、なおかつ、全シリーズ翻訳しなかった新潮社には深く反省してもらいたい。

 この度映画化の事もあってか、9/6に河出文庫で発売決定。しかも「銀河ヒッチハイク・ガイド」"The

Hitchhiker's Guide to the Galaxy"とシリーズ2作目の「宇宙の果てのレストラン」"The Restaurant at the

End of the Universe"も同時発売。しかも新訳です。おそらく10月にはその続編「宇宙クリケット作戦」が出ると思うが原題は"Life, the

Universe, and Everything"だからタイトルは変わるかも。しかも表紙がけっこう良いですよね。新潮版の金森達のイラストも味があってよかったけどね。

新潮文庫版(絶版)

 それに新訳という事はですよ、今まで未訳だった本も出るのではないですかね? "So Long, and Thanks for All the Fish"と"Mostly

Harmless"もぜひ翻訳してほしい。それと短編"Young Zaphod Plays It Safe"もぜひ入れて翻訳してほしい。そうすれば小説版は完璧になる。ああ、夢にまで見た事が現実となる時が…

 映画の方は予告編を見る限り面白そう。監督はガース・ジェニングスという人で劇場長編映画初監督! いままでミュージックビデオの監督やっていたそうだけど、ミュージックビデオの監督が映画撮って、一作目から良いのはまれ。どうなるかわからないが、スパイク。ジョーンズの推薦らしいので、彼を信用するしかないでしょう。

 先ず眼に着くのが、鬱病ロボットのマーヴィンのデザイン。小説を読んでいる時はもっと細い手足をもったロボットを想像していただけに、少し違和感がある。ザフォド(映画ではゼイフォードと表記)の頭は二つのはずだろ! と思ったが予告編を見たら出てきました二つ目の頭。フォードも黒人でびっくりだ。アーサーは普通の男なんでこれでよし。トリリアンも可愛い感じでOK。ザフォドの配役で全てが決まるといっても過言ではないと思うが、「グリーンマイル」や「マッチスティックメン」に出ていた、サム・ロックウェルなので、これも問題ないと思う。

 で、TVシリーズのDVDの方だけど、Amazonに詳細がかいていないが、BBC制作の物だから、新潮文庫版「宇宙の果てのレストラン」の解説に書いてあるものと同じだろう。が、これだと六話で「宇宙の果てのレストラン」の途中までしか進んでないそうなので未完だと思う。パッケージを見る限りザフォドの二つ目の頭は人形だし、トリリアンは可愛くないし、マーヴィンにいたっては悲劇的なデザインである。途中までしか無いのは本国イギリスでも評判悪くて打ち切りになったからでしょう。それにパッケージに大きく「パニクるな」と書いてある。これは本編に出てくる「銀河ヒッチハイク・ガイド」の表紙に書かれている言葉"DON,T

PANIC"の訳だろうが、酷すぎる。元の風見潤訳の「あわてるな」が一番あっている。それをわざわざ「パニクるな」にしてしまうセンスでは字幕翻訳も期待できまい。でも私は買っちゃうだろうな…

 私は数年前、携帯電話を持ったばかりのころ、待ち受け画面に"DON,T

PANIC"と出していた。右が当時使ってたやつです。

 強烈なキャラクターたちに囲まれて翻弄されるが、健気に頑張る普通の男アーサーが大好きだったし、ロボットゆえに壮大な自虐を行うマーヴィンも最高だった。新刊も映画も全てこれからレヴューしていきますので請うご期待!!