▼菊地成孔×青山真治 ゴダールにメロメロ?

"『アワーミュージック』公開記念 菊地成孔×青山真治 爆裂トークショー!"
菊地成孔,青山真治
Japan(2005)
Official Web

 六本木ヒルズで『銀河ヒッチハイク・ガイド』を見た後に、友人とTUTAYA美術書とかパラパラ眺めていると、菊地成孔青山真治トークショーの告知がアナウンスされた。


 菊地成孔は最近メディアで良く取り上げられてはいるけどあまりどんな人か知らない。昨年"DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN"のライブを朝霧JAMで見て素晴らしいなと思っていたので興味はあった。青山真治は『ユリイカ』しか見ていないけどすきな映画なので、とても興味はあった。菊地成孔はジャズミュージシャンであるだけでなく、エッセイも定評があって、青山真治は自分でノベライズを手がけた『ユリイカ』で三島賞までとっていて映画の才能もあって文章の才能まである。そんな凄い二人がゴダールの新作『アワーミュージック』の公開を記念してゴダールトークを行うというのである。

 18才の時ゴダールの『マリア』を見た。とてもキレイな映像で惹かれはするのですが、18の私にはゴダールを理解出来るはずも無く、途中で寝てしまったりしてサッパリ意味が解らず、それ以降ゴダールを敬遠するようになってしまい、唯一『勝手にしやがれ』を見た程度、ゴダールに関しては無知。

 そんな菊地初心者、青山初心者、ゴダール初心者で滅多に六本木にもいかない私がヒルズ内のしかもTUTAYAスターバックスが一緒になったオシャレな場所で、トークショー見たりするんですから世の中何が起こるかわかりません。

 トークの内容はゴダール知らずの私でもとても興味をそそられる内容だった。

 菊地成孔ゴダールの映画で録音を担当しているフランソワ・ミュジーの大ファンで、ヘッドフォンで映画の音を聴き、その音の凝りようや、何に対して音がフォーカスされているかなどを探ってそのシーンの意図を探るという手法は、耳のいい音楽家ならではの作品に対するアプローチの仕方で、面白いと思った。こんな事が出来る人は本当に限られていると思う。

 青山真治の言う、冒頭の路面電車を手持ちカメラで撮っているシーンは、ジョン・フォードのとある映画のラストシーンに繋がり引用されているという話も、膨大な映画の記憶から検索される彼の映画探偵っぷりを披露してくれて楽しめた。

 しかし一番面白かったのは、蓮實重彦にまつわるエピソード。ゴダール映画の試写会の時に蓮實重彦が膨大なゴダール論を読み上げ、その後に会場に来ていたそうそうたるメンバー(菊地、青山の他に、黒沢清阿部和重中原昌也浅田彰など)にマイクを回して、それぞれに今見た映画についてコメントを求めはじめた。ただでさえ難解なゴダールの映画を見た直後に、それを蓮實重彦の前で語らなければならない状況は、まさに地獄だったそうだ。中原昌也などは、キレかかって「授業じゃないんだから」と言っていたそう。無理もない。あの意地悪さは身体の大きさに比例すると菊地は言っていた。うまい事を言う。

 やっぱりいろんなところへどんどん出かけて、いろんな物を見聞きする事は重要だ。

DVD: ジャン・リュック・ゴダール
CD: 菊地成孔
本: 菊地成孔
DVD: 青山真治
本: 青山真治