▼『サイドウェイ』再度上へ

"Sideway"
Alexander Payne
USA(2004)
Official
Web

 アレクサンダー・ペイン監督の前作『アバウト・シュミット』がなんか老年のジャック・ニコルソンに共感できるところがあったりしてよかったので、この『サイドウェイ』を見ました。今度は中年が主人公。

 まず男が二人車で旅に出る映画だったことにびっくり。主人公マイルスの親友ジャックが一週間後に結婚するために、独身最後の旅行に二人で行くのである。これってアメリカっぽいね。ちょっとロードムービーっぽい側面もある。

 このむさい男二人の友情が何ともいえなくいい。見た目も性格も正反対なのに、妙に仲がいい。

 マイルスは二年前の離婚を未だに引きずっていて、前妻に未練タラタラ。二人の間に子供がいるわけでもないのに、ちょっと見ていて苛ついた。

 で、いろいろとふっ切って新しい恋(つまり希望)に踏み出すところで映画は終わるのだけど、それまでのマイルスのマヤ(旅先に住む美人で、マイルスの知り合い)に対する態度にはイライラさせられっぱなし。さえない男のわりには美人のマヤに最初っから好かれているにもかかわらず自虐的。しかも自分のことを心配してくれる親友までいるのに。普通はもっと悲惨な奴をさえない奴というのだろうに。

 マイルスとマヤの共通の趣味がワインでこのワインにまつわる話がいくつもレトリックとして語られて面白い。私は酒が飲めないのでワインの味もさっぱりだけど楽しめた。

 恋愛部分よりも飾り気のない男同士の友情映画として楽しめた。

 タイトルは『sideway』(寄り道、脇道)だけど、人生どこをどういってもそれは自分にとっては本道、いや正道、いや王道なのだと思う。

DVD:
サイドウェイ