▼『恋は五・七・五』真夜中に狂い飛ぶあの娘の勝利

"恋は五・七・五"
荻上直子
Japan(2005)
Official Web

 この映画タイトルバックの後に、ピンク色の自転車がアップで出てきます。赤い自転車ってのはよく聞くんですが、いきなりピンクの自転車には面食らいますよ。しかしすぐにその自転車をこぐ足に目がいってしまう。その細く長い足は、あっという間にピンクの自転車の存在感なんて脇に投げやってしまいます。

 つーわけで、その自転車に乗っているのは関めぐみなんですが、彼女はすごいですよ。手足長いし、鋭い目つき、でも一番特徴的なのはセクシーな唇。存在感すごくて、いかにも気が強そうで、他の高校生を圧倒しています。彼女がコンクリートの上に寝ているだけですごい絵になる。なんかさりげなくナンバーガールの名曲「TRAMPOLINE GIRL」を思い浮かべてしまう。

 そんな彼女が、俳句の映画に出るんですからすごい組み合わせ。普段俳句なんて興味ない人でも、伊藤園の「おーいお茶」を飲むとき、ついつい俳句を読んでしまう人にも、うってつけの映画。俳句入門編にもなっている。

 私は以前一日中コンピューターに向かう仕事をしていたので、そのときよくヘッドフォンでCDを聞いていた。当時はまだiPodなど無いときだったので、CDも飽きてくる。そこでラジオを聞こうと思ったのだが、なんかラジオはAMのもFMにもなじめなかった。そこでテレビの音を受信できるラジオを買ってきてたまに聞いていた。聞いていたのはほとんどNHKトーク番組とか教育番組だった。その中にNHK俳句という番組があった。

 それを聞いていたとき、今まで俳句には全く興味がなかったのだが、音で俳句を聞いていると自然と頭に情景が浮かび、少し面白いなと思った。そしてびっくりしたのは視聴者の投稿俳句のコーナーで、まず素人の句を読む、その後先生がアドバイスして、その句の一部を変えて詠むのだが、その変えた句の方が圧倒的に、前の物よりいい情景が頭に広がり、言葉の持つすごさに驚いたことがあった。

 そんなわけで、その後「おーいお茶」を飲むたびに俳句を読むようにはなった。

 映画のほうは、関めぐみ以外取り立ててすごいところは無いのだけど、写真部の男の子ツッチーが時おり入れるちょっと文学的なモノローグがいい感じ。どこかで見たことある顔だなと思っていたら、『GO』の主人公の親友役だった彼。

ウォーターボーイズ』以降、この手の青春映画が多く作られるようになって実はすごくうれしい。これからも色々なネタのこんな感じのライトな青春映画がもっと見たい。もちろんリアルだったり痛い青春映画も希望ですけど。

 かるーくちょっと爽やかになるにはうってつけの映画。おまけに俳句を見る目が少しかわるかもしれないし。関めぐみが歌って踊るシーンは必見だし… で最後にはポップでキャッチーな主題歌が。これぞライトムービーの王道パターン。

 南風 キリサク君の 手足と目

DVD:
恋は五・七・五