▽『ドラえもん』いいシーン その1

ドラえもん藤子・F・不二雄

てんとう虫コミックス/小学館 3巻所収「ミチビキエンゼル」より

 左は自分でお腹のカバーを外して修理をしている瀕死のドラえもんです。ロボットが自分の身体を修理するシーンは映画「ターミネーター」シリーズでもおなじみだけど、こちらは痛々しい感じがしてとて悲しい。下はその後必死に立ち上がろうとして、もがくドラえもんだが、ネコ型ロボットの名前通り、四つ足になってしまう。この姿もプライドの高いドラえもんからしたら、かなり屈辱的だろう。これもなんか悲しい。また、故障の原因がまた「くしゃみをした時にネジが飛び出してしまった」という悲しいものだ。

 自分を直すために便利な秘密道具を使わないのは、荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険」第四部の、人の傷を治すスタンドを持ちながらも自分の傷だけは決して癒す事のできない仗助のようで、人は助けられるが自分は救えないというドラマティックな設定か?

 ドラえもんを心配しているのび太の顔も本当に心配そうな顔をしている。のび太の優しさがあらわれているコマだ。

フリーペーパー「Excitation & Sleepy」4号 2003年12月 にMiruzが書いた記事を転載しました。

ドラえもん 3巻