★フジロック'05日記 アフター編

三日目後編

 目が醒めると、なんか快適。いつも汗だくで目覚めていたけど、今朝は快適。よく見ると着の身着のままで、寝袋の上にのかって寝ている。あー、気分いいね。朝はこうでなくっちゃ。あれ、テントの入り口が開いてる。そうか、レッドマーキー終えて飯食って、戻ってきてそのまま倒れて寝てしまったんだ。んっ? 外で何やら拡声器の音が聞こえてくる。

「テントサイトは12時で閉鎖しまーす」

 はあ、12時ね。今何時だろ? 目覚まし時計を見る。9時50分か。で、帰りのバスは何時発だっけ? とバスチケットを取り出して確認。11時ね。うーん……… ってまだ何の帰り仕度もしてねーじゃん!

 そうです。当初の予定では、荷物をすべてまとめ。寝袋をしまってテントをたためばすぐに帰れるようにするはずだったのです。しかし、疲れで知らぬ間に寝入ってしまったため、まだ何の用意もしていません。

 あわてて歯を磨き、着替えて荷物を段ボールに詰め込みます。でもって急いでテントをたたみます。焦っているのでうまく袋に収まりません。それでも何とか詰め込んで、段ボールを担いでダッシュ。しかしテントサイトの通路は狭いし出口は混みあっていて早くは進みません。それでも何とか抜け出して、宅急便受け付け所へ行くと、「並んでる!」しかもなんか精算とかしているよ。こっちは往復宅急便なんだから、そんな精算は必要ないのに。これじゃなかなか列は進まないよ! だから往復宅急便専用の受け付け場所と、片道用の受け付け場所分けとけよ! って言ってるじゃん(伝えてないけど) 昨年も手際悪かったけど、今年もかよ。と、ただ焦りながら待ちます。そうこうしているうちに順番がまわってきました。往復便なので帰りの便の受け取り控えを取るだけで終了。来年からは自分でそこだけちぎって、荷物の山に置いとけばいいのだろう。

 時計を見ると10時57分。後三分だ! ここからバス乗り場まで、歩いて十数分は絶対にかかる。しかも上り坂。背中にはテントとか入ってるナップザックを背負っている。バスは客を乗せて一杯になった順に出発するので、11時より遅く出るバスもあるはず。それにかけるしかないが、どの程度まで遅れられるか保証は無い。

 昨日まで三日間毎日18時間以上遊びまくった足で、私は走りました。空は晴れ。フェス中よりもはるかにいい天気。 汗だくになりながらもダッシュ! 坂道をダッシュ! ナップザックを揺らしながらダッシュ! 晴れ晴れとした顔で帰路につくフジロックヘッズを追い抜かしながらダッシュ

 人間やればできるもんですね。5時間は寝たおかげで、動かなかった足はかなり元気に回復していました。そしてバス乗り場に着くと、まだバスは2台有りました。セーフ。

 新宿に到着。かなり身体が汚くなっているので、そのまますぐ家まで帰りました。

 家について、入場用のリストバンドと、テントサイトのリストバンドを外します。これを外す時は毎回なんとも寂しい。本当にフェスは終わっちゃたんだな… という感じ。夏休みも今日で終わり。後は九月まで週一しか休日は無いので、自分にとっては、もう夏も終わりって感じ。

 四日ぶりに浴びるシャワーは最高です。去年もそうだったけど、夏休みは今日で最後なのでまた新宿に遊びに出かけました。

 今回のフェスの三日目に腕時計が壊れてしまいました。何年も使っていたG-ショックだったのですけど、表示が出鱈目に出るようになってしまった。昨年電池は換えたばかりだから、電池切れではないでしょう。そのむかーし、彼女からもらった代物で、いろんなフェスを共に経験してきた歴戦の勇者だったのに。ショックですよ。

 今は携帯電話があるから、腕時計をしていなくても不便ではないけど。雨とか降りまくるフェスでは必需品。朝霧Jamまでには頑丈な時計を買っておかなくては。でもよく考えたら、腕時計って今まで自分で買った事は無かったよな。もらい物ばかりだった。しかし今は時計をプレゼントしてくれる相手などいない現実に再度ショック。

 フジロックは本当に楽しかった。世の中にはいろんな楽しいことがたくさんある。スポーツ選手や受験生が、努力してくる日も来る日も励んだ末に勝利を手にする。そういった喜びには到底及ばないかもしれないが、お金を払えば誰でも参加できる。そういう類いの中ではフジロックが自分にとっては今一番楽しい。音楽が好きならば、その中でもロックが好きならフジロックは本当に凄い経験を与えてくれる。

 海外のバンドが多く来るフェスにもう一つ、サマーソニックがある。こちらは都市型のフェスで、期間も土日の二日間だけだし、幕張と場所も近いので東京近郊の人たちならどこかに宿泊せずとも、気軽に参加できる。出るメンツも豪華で規模もでかい。

 フジロックは、三日間も開催するし、苗場まで行かなければならないので、日帰りで気軽に参加するわけにはいかない。休みを何日も取らなければならないし、宿に泊まる場合などは、宿泊費用がバカにならない。それに現場での装備なども含むとかなりの出費になる。私もフジロックには夏休みフルに五日間つぎ込んで、出費は八万円ほど。今年は3万5千円のテントまで買った。サマーソニックなら、交通費、食費、チケット代で、二日間参加しても三万円位ですむ。

 しかし、しかしだ! フジロックにはここまでしてでも参加したいやつらが来るのである。金もかかるけど、休みも取らなければならないけど、それらクリアし難い事をクリアして苗場にやって来る音楽好きが三万人以上集まるのである。だから、すごく客がいい!! フジロックを素晴らしくしている一番の要素は、客だ。出演するアーティストに熱狂し客が応えると、それによってアーティストも鼓舞され熱くなる。そういった相乗効果がかなりある。もちろん苗場の自然もある。そういった環境に囲まれているためいつもとは雰囲気が違う。"客XアーティストX環境"これによって生まれる興奮はここでしか味わえない。

 

音楽が好きなのに、何か面倒、お金がかかる、などの理由で参加しないならもったいないと思いますよ。仕事の都合でどうしても時間がとれないなら仕方がないと思いますけどね。いくらフジロックが楽しいといっても、一生を棒に振ってまで参加するものではないですから。

 ふだんすぐ自己嫌悪におちいる自虐的な自分でも、フジロックに参加している時だけは、自分の事が好きになれる。なぜかというと、「音楽が好きで、それもロックがやダンスミュージックが好きで、本当に良かった!」と思えるから。そんな自分を褒めてあげたいと思えるからです。

 そして今年の各ベストの発表。ちなみに昨年のベストは

 総合Best5

 1、Pixies

 2、BASEMENT JAXX

 3、!!!

 4、

BUFFALO DAUGHTER

 5、MUM


 DJ Best1

 Armand Van Helden



 といったところ。今年は

 総合Best5

 1、The Mars Volta

 2、Sigur Ros

 3、サンボマスター

 4、 Asian Dub Foundation

 5、United State of Electronica


 DJ Best1

 TOWA TEI

見られなかった悔しいアーティスト

MAXIMO PARK,New Order,Dinosaur Jr.,HAWAIIAN6,BOOM BOOM SATELLITES,あふりらんぽ,Kaiser

Chiefs,Mercury Rev,クラムボン,The Coral,Aqualung,Ryan Adams & The Cardinals and more



フジロック'05日記 完

フジロック'05日記 目次
前夜祭編 一日目前編 一日目後編  
  二日目前編 二日目後編  
 三日目前編 三日目後編 アフター編