▼『アメリカン・スプレンダー』輝かない輝き

"American Splendor"

Shari Springer Berman/Robert Pulcini

USA(2003)

　現在レンタル屋のTUTAYAで半額期間中なので、しばらくDVDのレビューが続きます。この半額期間中はなんとなくジャケットだけ見て、裏にかいてある映画の内容などチェックせずに借りてくる物も多い。今回見た『アメリカン・スプレンダー』もそんな感じで内容の事などあまり解らず。アメリカで人気のあるコミックスを映画化した作品なのだと思った。

　映画を見ていながら徐々にこれは『アメリカン・スプレンダー』という現実の話をベースにしたコミックスの原作者の生涯の物語で、原作者のハービー・ピーカー自身と、ハービーの若いころを演じる役者ポール・ジアマッティの二人が出演すると同時に、コミックスのキャラクターであるハービーまでもがアニメーションで登場するという、トリッキーな作品だった。だから登場するキャラクターには皆モデルがいて、そのモデル自身も途中に登場してきたりして、コミックスの中や映画の中でのデフォルメがそれほど大げさでない事がわかったりと、けっこう小さな驚きの多い映画だった。しかし、内容が複雑かというとまったくそんな事は無く、シニカルでオフビートな気軽に楽しめる映画であった。

　子供嫌いで生涯子供を持つ事を嫌っていたハービーが、ガンを宣告され治療している時に出会った女の子を養女にもらうエピソードにはほろりとさせる。

　一番驚いたのはトビーというキャラクター。すごく特徴的な変なしゃべり方をしていて、かなり誇張しているのかなと思っていたら本人が登場してまったく同じしゃべり方だった。面白過ぎ、愛すべきキャラクター。

　アメリカには一度も行った事は無いのに、彼らの住んでいるクリーブランドは何か懐かしさを感じさせてくれる。