『メゾン・ド・ヒミコ』犬童一心監督 DVD

2005年/日本/131分
かなり評判のいい映画ですが、私はそれほど魅力的な映画には感じなかったな。可もなく不可もなくです。
ゲイである父親(田中泯)と、母とともに捨てられた娘(柴崎コウ)の和解の話しです。最後にそれほどはっきりと娘は父親を受け入れるわけではない辺りがリアリティがあっていいかも。
塗装会社の専務(西島秀俊)は社内の女子社員に手当たり次第手をつける、性欲と食欲にしか興味の無いエゴイスティックなタイプなのだが、これってこの映画に出てきたゲイの人たちに似ているのではないのかと思った。専務とゲイの違いは偏見による差別があるか無いのかの違い。
映画に出てくるゲイって必ず「いい人」として描かれがちだけど、この映画は必ずしもそうではない点がいい。父の愛人(オダギリジョー)は幼いころから孤独だったためか、欲望そのものからしか生の実感を得られないし、父親はエゴイスティックの塊のような気がする。自分勝手に娘を捨てておいて、「私はあなたが好きよ」とは卑怯に思えるし。まあ、その一言で娘は救われているのは確かなのだけど。
最後の壁の落書きのオチは、一見感動的な仕掛けのようにも感じるが、映画的なカタルシスがあるようでいて無い、中途半端なオチのような気がして物足りない。
ジョゼと虎と魚たち』は面白かったのですけど。
コメンタリーで犬童監督が、「この映画の脚本にはいいセリフが多くて良かった。いいセリフがひとつも無い脚本を撮らなければならない事もあるから」みたいのことを堂々と言っていました。もしかして『メゾン…』と同じ頃公開された、同監督の『タッ◯』の事ですか? (未見だから無いも言えませんけど)
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