『ディパーテッド』マーティン・スコセッシ監督 吉祥寺バウスシアター1

昔はチョウ・ユンファ全盛期のころの香港ノワールがけっこう好きでよく観ていました。しばらく香港映画から遠ざかっていたのですが、香港映画『インファナル・アフェア』が話題だったので、見てみました。トニー・レオンとアンディ・ラウの映画じたい久しぶりだったので期待して観たのですが、もう香港映画に対する熱が無かったせいか、作品がイマイチだったのかほとんど印象に残りませんでした。
そのおかげで、このアメリカ版『インファナル・アフェア』である、『ディパーテッド』は面白く観れた。ストーリーをすっかり忘れていたために、先が読めずにかなりハラハラした。レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンの他にも、マーティン・シーン、マーク・ウォールバーグといい役者がたくさん出ています。
もともと香港映画には潜入刑事ものが多くて、ジョン・ウー監督が香港で最後に撮った『ハード・ボイルド』は脚本家が途中で亡くなってしまった事もあり、ストーリーに難があるが、チョウ・ユンファ、トニー・レオンの熱演と映画史に残るであろう壮絶な銃撃戦が印象に残る名作だった。また、リンゴ・ラム監督、チョウ・ユンファ、ダニー・リー共演の『友は風の彼方に』という潜入刑事とマフィアの間に友情が芽生えてしまうという傑作もある。ちなみにこの映画の後半部分を元にして作られた映画が、クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』です。
この『ディパーテッド』は『ハード・ボイルド』にテイストが似ていて、悪をむさぼるマフィアに対して、あらゆる物を犠牲にして潜入する刑事のせつなさと、苦しみを描いている。役柄的にはチョウ・ユンファがマーク・ウォールバーグ、トニー・レオンがレオナルド・ディカプリオ、アンソニー・ウォンがジャック・ニコルソンという感じ。
さすがスコセッシ監督作だけあって、普通ハリウッド製になるとラストなどが改変されて、ハッピーエンドになっていたりするけど、この映画ではマフィアの存在とそれに関わる警察とFBIの不条理な関わりによる結末をきっちりと描いている。
ただ、マット・デイモンの最後のミスはあり得ないくらいの凡ミスだよな…
後印象に残ったのはヒロイン的な役割のベラ・ファーミガです。彼女はとても綺麗。あまり白人の女優に好きな女優はいないのですが、彼女にははまりそうですよ。なんともいえない雰囲気を持っている。
最近見た『イカとクジラ』という映画で久しぶりにウィリアム・ボールドウィンを見かけて、やけにモッサリしちゃったなと思ったが（役作りかもしれないけど）、『ディパーテッド』にはでっぷりした兄貴アレック・ボールドウィンが出ていました。兄弟揃って似た体質、老け方です。

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