『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序』庵野秀明 原作・脚本・総監督 吉祥寺バウスシアター1

エヴァンゲリオンは、大昔にTV版を2、3話まで、と劇場版『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生』を観た事がありました。しかし劇場版はあまりにもダイジェストな作りで映画になっていませんでした。そんなわけで、話しの内容をしっかり知っているわけではないので、まったくの新作を観る感覚でした。
今回は四部作らしいので、しっかりした映画になっていると思っていたけど、何か演出が駆け足な感じがして、間とかテンポとかあんまり考えてないような。私は押井守監督が好きなので、ついついくらべてしまう。押井監督なら、ヤシマ作戦へ至る過程をもっと外連味たっぷりに見せていると思うのだけどどうですかね? まあ私が庵野監督になれていないだけなのかもしれませんけど。
碇シンジが悩んでいるし、今回の最後に入っていた予告編でもシンジがどんどん壊れていくって言っていますが、普通の少年らしいシーンがあまり描かれていないので、あらかじめ壊れているようにしか見えないです。

ですが映画はおおむね楽しめたかな。いいシーンはシンジと綾波レイが二人きりのシーン。巨大建造物の中で他にだれもいなくてって感じが孤独感があらわれていてとても胸が締め付けられる。なんか楳図かずおの『わたしは真悟』の各話の表紙画で描かれた、少年と少女の絵を思い出してしまった。
ヱヴァンゲリヲン使徒のシルエットのデザインは相変わらず秀逸で、恐さや不気味さと格好良さをあわせ持っている。シルエット先行でデザインが考えられたメカ物って実はエヴァンゲリオンが最初なのかな?
それと今回は新都心の建築物をこれでもかってくらいにじっくり見せていてそれが見所ですね。
これからどう展開して、どう締めくくるか楽しみだ。
ギミックてんこ盛りで面白いのだけど、映画作品としての出来はどうかというと、ヘタなのでは。

機会があったら漫画版も読んでみたいな。

キネマ旬報 2007年 9/1号 [雑誌]コンティニューvol.35新世紀エヴァンゲリオン (1) (カドカワコミックス・エース)
わたしは真悟 (Volume1) (小学館文庫)

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