『幻影』Miruz

幻影

Miruz
首を絞められた。
道を歩いていたら、後ろから突然。あわてて首に手をあてたが、そこには何もなく、しばらくもがき、膝をついて倒れたときにやっと、苦しさから解放された。振り向いてみたが後ろには誰もいなかった。
なにが起こったのか理解できなかった。突然の呼吸困難。身体は汗でビッショリ。気のせいだと考えるには重すぎる出来事だ。
よたよたと歩きだす。気を取り直すために、今の出来事を友人にメールで報告することにした。
携帯電話を取りだし、文字を打ち始めた。歩きながらのメールは危険だとわかってはいるが、ついついやってしまう。
途中まで打ったところで、言葉に詰まってしまった。首を絞められたときの驚きと恐怖をどう伝えようか。しばらく考えていたが、あまりいい言葉も見つからず、ふつうに怖かったと書こうと、携帯電話を見た。しばらく文字を打っていなかったので、バックライトは消えて、暗くなっていた。
そのとき、暗くなった画面のガラスに、ただれた皮膚とうつろな目が写り、血塗れの手が僕の首をつかんでいるのが見えた……
phantom
2001/11/25