『ギャング・オブ・ニューヨーク』マーティン・スコセッシ監督 WOWOW
しかし、メインとなるストーリーは素晴らしかった。ギャング団"ネイティブ・アメリカンズ"のボス、ビル・ザ・ブッチャーはアイルランド移民団"デッド・ラビッツ"のリーダー、ヴァロン神父を壮絶な戦いに末に倒す。16年後ヴァロン神父の息子アムステルダムが、ビル・ザ・ブッチャーへの復讐を誓って少年院より戻ってくる。
腕っ節の強さと度胸を買われたアムステルダムはビルに気に入られ、彼に近づくことに成功し、復讐の機会をうかがう。しかし、ビルにとって今まで戦ってきた男の中で唯一敬意をはらい、尊敬している人物がヴァロン神父だった。プロテスタントとカトリックの違いこそあれ、自分を唯一追いつめた男として、認めていたのだった。そのため、アムステルダムがヴァロンの息子であると薄々気づいていたビルだが、彼を自分の息子のように慕ってしまう。
ビル・ザ・ブッチャーのアムステルダムへの親子愛のような感情、しかし、アムステルダムは自分の命をねらっている敵でもある。この板挟みの状況に喘ぐビルの姿こそが、この映画の最大の見所なのだと思う。そのビルを演じるダニエル・デイ=ルイスの凄まじい演技力!! 19世紀のニューヨークが再現された壮大なセットも霞んでしまうほどの存在感だった。
ダニエル・デイ=ルイスだけでなく、アムステルダム役にレオナルド・ディカプリオ、ビルの元情婦ジェニー役にキャメロン・ディアス、ヴァロン神父役にリーアム・ニーソンと、他にもすごい役者が出まくってます。先にも描いたけど、19世紀のニューヨークが再現された壮大なセットもすごいので一見の価値はある。
しかし、少なくとも19世紀のアメリカの歴史を勉強していないと映画を見るのはきついかも。
この映画の元になった1928年に新聞記者だったハーバート・アズベリーによって出版された19世紀中頃から20世紀初頭のニューヨークマフィアの歴史が書かれた『ギャング・オブ・ニューヨーク』を読んでいると、更に映画を理解できるのでしょう。