「ひこばえ」日影丈吉

『日本怪談集 上』編:種村季弘 河出文庫 所収
とある不気味な家のお話ですが、その家の恐さ、不気味さの表現の仕方が秀逸。この家は住人を食らってしまっているのでは? と不安感を煽るオチの付け方が巧い。恐さを直接描かず間接的に描く。怪奇小説のお手本の様な作品。
ひこばえ(蘖)とは茂った草木の根株から出た芽のことを言います。余蘖(よげつ)とも言うのですけど、この場合は、滅びた家の子孫の残っているものの事の意味にもなります。そうやって考えると深読みもできます。

日本怪談集〈上〉 (河出文庫)

日本怪談集〈上〉 (河出文庫)